« 旅 | メイン | 読書・言葉 »

2007年11月19日

みのう山荘

ご近所の「長住サイクル」さんのブログ「a Talk」を読んで、いつか訪たいと思っていた温泉が二つあります。

とても冷え込んでよく晴れた日曜日の朝、そのうちのひとつ、浮羽郡田主丸町の「みのう山荘」を探しました。
%E7%9F%B3%E5%85%86%E9%82%B8%E3%81%AE%E7%B4%85%E8%91%89%E6%8B%A1%E5%<br />
A4%A7.jpg

「みのう山荘」は「石兆亭」のそばにあるんだ。ふん、ふん・・・・・。

「石兆亭」は30年ほど前に村長の師匠柴田弘光さんが連れて行ってくれた、耳納連山麓の京風料理屋さんです。当時は美人姉妹が経営していると有名で、美人と旨いものにからっきし弱い師匠でした。

昔とはずいぶん変わって大きなお店になっていましたが、庭先の紅葉は相変わらず素晴らしく、11月の陽に輝いていました。

石兆亭の和風ランチのそのあとに、苦労して探しあてた「みのう山荘」は、石兆亭のすぐそばでした。

未納連山を背にして、見晴かす筑後川流域の眺めはなんとも絶景。

湯気をあげる蒸し器の中には、ゆで卵が3個入ってました。

%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%81%86%E5%B1%B1%E8%8D%98%E3%81%AE%E8%92%B8%E3%81%97%E5%99%A8.jpg

温泉は掛け流しで、露天風呂からの景色も雄大です。

外気の冷たさに、つい長湯をしてしまいました。

%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%81%86%E5%B1%B1%E8%8D%98%E3%81%AE%E7%82%AD.jpg

風呂上りの休憩に、景色の良いベンチの前に火鉢が3つ置いてあって、炭火の暖かさをジワーと感じながら、読みかけの本を開いてウトウトしていました。

いつか、自転車でここまで来るぞ!

2007年10月22日

秋の筌の口温泉

めっきり涼しくなりました。
この季節になると、筌の口温泉の露天風呂に行きたくなります。

すぐ近くに大吊橋ができて、とても車が渋滞するようになりました。
少し不便になりましたが、露天風呂を覆う落葉樹たちがさまざまに変化してゆくこの時期を逃す手はありません。
%E7%AD%8C%E3%81%AE%E5%8F%A3%E6%B8%A9%E6%B3%89%E3%80%80%E8%84%B1%E8%A1%A3%E5%AE%A4%E3%81%8B%E3%82%89.jpg

縁の石組みに頭を預けて、手足の力を抜いて、見上げた青空に、透ける紅葉の葉が風に揺らいでいます。
この緑の葉が日ごとに赤や黄色に染まってゆきます。
訪れるたびにその表情を変える雑木林に包まれて、赤いお湯の中で至福のひと時です。

%E7%AD%8C%E3%81%AE%E5%8F%A3%E3%80%80%E9%9C%B2%E5%A4%A9%E9%A2%A8%E5%91%82%E3%81%AE%E5%BA%83%E8%91%89%E6%A8%B9.jpg

ここのお湯はもちろん飲用可能で、鉄分を含んで甘酸っぱい味がします。
胃腸に良いのだそうです。

同じように竹で引いてある湧き清水も冷たく美味しく、温泉と清水をペットボトルに詰めて帰ります。

%E7%AD%8C%E3%81%AE%E5%8F%A3%E3%80%80%E5%90%90%E6%B9%AF%E5%8F%A3.jpg


2007年04月10日

温泉はしご

桜も散り始め、末っ子の入学式も終って、久しぶりに夫婦で九重まで日帰り湯治に行くことにしました。
玖珠町にちょっと用事があって、初めて玖珠インターで高速を降りました。
玖珠町は30年以上前に仕事で何度か訪れたことがあります。当時若かった村長は建築家の所長さんがお相手する施主の奥様方の膝枕の役目をさせられました。つまらないことはよく覚えているものです。

玖珠から210号線を離れて小国のほうへ向かい、途中おなかが減ってきて、宝泉寺温泉で目についた桜のきれいな門構えの温泉に立ち寄ることにしました。(またイキアタリバッタリ)
%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E6%B8%A9%E6%B3%89%E9%96%80.JPG
店番をしていた目の鋭い白髪のおばあさんに「ここは100%掛け流しで、腰痛もすぐ治るし、アトピーにも効くとよ。飲めるし、顔ば洗えばつるつるになるし、目にこすり付ければ眼もようなっとよ!温泉が6つあって、どれに入ってもよか。選んで好きなのに入ればよか。300円よ。食事もいつもは予約制やけんど、さっき二人分つくり始めたところやけん、つくらせるけん。キレーかところに用意させとくけん、おいしかよー!温泉に先に入ってきんしゃい。昼食は1500円。最近物忘れがヒドカけん前金よ。前金!」と、しっかりアピールされて、二人分3600円払いました。
桜の門をくぐって建物に入ると、脱衣室の廻りに6つ同じような岩風呂が並んでいるだけでした。

%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E6%B8%A9%E6%B3%89%E9%9C%B2%E5%A4%A9.JPG
家内に言わせると確かに泉質はよかったそうです。
村長は露天風呂の水面に移る春の陽がぽかぽかと心地よくて、一人無人のお湯にプカプカとしていました。
その他の感想は書きません。概して宣伝過多の商品には気をつけないとね。
最近、村長の鼻もあまり効かなくなったのかな?
”前金には気をつけましょう。”

それで、口直しに筋湯まで行ってみることになりました。
筋湯は子供の頃に親父とお袋に連れて行ってもらっただけで、何度も通るのですが温泉に入るのは久しぶり。
坂がきつくて狭い温泉街はほとんど人影もなくガランとしていました。
ここでまた性懲りもなく、ネーミングがちょっと素敵で、門構えがしゃれてる旅館の露天風呂に入りました。ここにも客はだれもいなくて、男湯と女湯のフェイクの竹の垣根越しに時折声を掛けて、別居家族風呂状態でした。こんな日和に贅沢といえば贅沢。
%E7%AD%8B%E6%B9%AF%E9%9C%B2%E5%A4%A9.JPG
筋湯のこの露天も、春の陽に温泉の湯気がゆっくり流れていい湯加減。
ただ、体を伸ばすたびにごつごつした岩組みに体をアチコチぶつけて少し不機嫌になりました。
かつて栄えた温泉街がさびれているのをよく見かける。過去の繁盛した記憶が、町を魅力的に更新し続ける活力を損なっているのかなあ。良い泉質のお湯と歴史の温かさがあるのだから、新しい感性で再生すれば魅力的になるはずなのに・・・

早々と風呂から上がった村長は人気のない筋湯の温泉街をうろついて、「日本最大のうたせ湯」のそばに、ペットボトルの飲料水が山水で冷やしてあるのを見つけました。まだ風呂に入っている家内が財布を持っているので、のどの渇きに耐えながら、そっと写真を撮りました。(山水を手ですくって飲めばよかったのだ・・・)
%E7%AD%8B%E6%B9%AF%E6%B9%A7%E6%B0%B4%E5%86%B7%E5%8D%B4.JPG

2007年02月08日

ラムネ温泉

%E8%84%87%E3%81%A8%E5%89%9B%E5%BF%97.jpg
大分県直入町長湯「ラムネ温泉」

九州横断道を由布院で降りて、40分ほど南に走ると世界でも有数の炭酸泉「長湯温泉」がある。
去年はここにはまっていました。

長湯には多くの源泉があって、大きく分けると「ドロ湯」と「ラムネ湯」の2種類。
この「ラムネ湯」が村長の体質にぴったりでした。湯温は32℃。湯に浸かるとヒヤッとする。でも5~6分もするとなんだかポカポカしてくる。そして体中に炭酸の泡がびっしり!なんだかもったいないような気がして、泡が消えないようにじっとしていると手も足もおなかも真っ白になる。浮力がついたような気がして、浴槽の縁に頭をあずけて、手足を伸ばすと、心も伸びてきて、いつの間にか眠ってしまうのです。すぐに30~40分が経ってしまいます。指の皮がふやけて弛緩してしまった体と心を、室内の42℃の「ドロ湯」でシャキッとさせて、また32℃の泡に浸かります。ね!すぐ2時間近く経ってしまいます。村長が家内に負けず劣らず初めて長湯したのがここでした。長湯のネーミングの由来はこういうことかも。(本当は違うらしい。)

「ラムネ湯」は一般名詞ですが、長湯の老舗大丸旅館が古い施設を更新して、施設「ラムネ温泉」をつくりました。建築家は藤森照信。杉板とシックイのゼブラや屋根の頂の松ノ木や複雑な屋根の形が実に奇をてらった建物で山村の中で目立っています。藤森さんは建築歴史家で、いわゆるデザイナーとは異なる言語で建築を考え実現する人のようです。福岡の浄水通りにも屋根の上に松ノ木が生えた住宅がありますよね。ワークスの小葉紅ちゃんも藤森照信の大ファンです。

%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%83%8D%E6%B8%A9%E6%B3%89%E3%80%80%E9%9C%B2%E5%A4%A9.jpg

写真はラムネの露天風呂の盗撮ですが、ビニールハウスのようなフレームは後工事だそうです。ラムネの湯は炭酸を多く含んでいて、ポンプアップすることができません。それで湧出点から流し落とせるような低い位置に露天風呂がつくってあります。だから畑の中にはまり込んだような形で湯に浸かります。なかなか不思議な感覚です。

長湯には象設計集団が設計した温泉もあります。こちらは藤森作品と違って地元の人に好評のようです。脱衣場が狭かったり、入り口が低くて頭を打ったり、洗い場や女性の化粧スペースが無かったり、何かと使いにくいのですが、村長お薦めは藤森作の「ラムネ温泉」です。

ぜひ長湯してください。

また、近所の「七里田温泉」にさらに炭酸濃度の濃い「下ん湯」があります。湯船の水面から炭酸の泡がパチパチはじけるのがわかります。ここはなかなかの秘湯ですが一般にはお薦めじゃないかも?
こう言うと、探していきたくなるでしょ。村長も見つけるのに苦労しました。

2007年02月03日

番外 素敵な公共建築

%E6%B5%B4%E5%AE%A4%E5%86%85%E8%A6%B3.jpg
星の温泉館きらら

おまけです。
「茶の文化館」を設計した首藤泰比呂の手になる「星の温泉館きらら」はいい温泉です。

この写真は浴室の内部の様子ですが、何か普通じゃないのががわかりますか?

温泉の湯船の向こうのハメ殺しの大きなガラス窓が水滴で曇っていない!
だから温泉に浸かって外の森の景色と谷の見晴らしが存分に楽しめる。いい感じです。
実は大きなガラスの下には30mmほどの隙間があってそこから吸い込まれた外気が、湯船から溢れる温泉の熱でガラス沿いに上昇し、ガラスに湯煙が結露するのを防いでいるのです。丁寧な仕事です。

このガラスの外に露天風呂がある。木々に囲まれた「もりの湯」と谷を見下ろす「みはらしの湯」。
この露天風呂も湯船に浸かった人の視線の高さと方向をじゅうぶんに計算してある。頭を乗せ掛けて脱力できるような湯船の縁の石組みがうまくいってれば最高。
湯上りにはゆったりとしたタタミの休息室があり、掃きだしの窓から森の景色を眺めたり田舎料理をつまんだりしながらうたた寝が出来ます。

温泉は泉質が人それぞれに相性があるので一概に言えないけど、施設としていちばんリラックスできる温泉建築はこの「星の温泉館きらら」どす。
ああ、村長も温泉の設計がしたいなあ。