取っ手
今から77年前、パリ郊外ポアシ-に建てられた住宅のドアの取っ手です。
螺旋階段とスロープのある廊下から、リビングに入る、細いスチールフレームのガラスドアに付いています。
この住宅は世界中から見学者が絶えないので、取っ手のクローム鍍金は磨かれたように光っていました。
「建築はね、まず手に触れるところから大事につくってゆくんだよ。ドアのノブ、家具の引き手、手摺や蛇口やスイッチ。それらに触れて、しっかり造ってあったら、建物全体がとても質の高いものに感じられるんだ。人の手に、人の目に近いものから、順にちゃんと気を配らなければいいものはできないよ。」
師匠の口癖でした。