アノニマス
通勤路になぜかほっとする住宅がある。
平屋の小さな一戸建て。
お歳の方が住んでおられるようだ。
白い壁に鉄板屋根。木製建具に板の塀。
枯れかけた大きな樹と西陽除けの簾。
新建材も、ハウスメーカーも、住宅を設計する建築家もなかった頃の住宅。
地域とか、時代とか、そんなものがデザインしたんだろうアノニマスな住宅。
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小さな白い住宅のそばにある古い白い集合住宅。
道路には面していないこの側面のなんと無愛想なこと。
隣地側はいずれ同様の高層建築で隠れると考えて無視したのか。
西日を嫌って塞いでしまったのか。
ここにも恣意的なデザインが排除された結果の心地よさがある。
ちょっと見惚れる即物的なスカイライン。