青砂ヶ浦天主堂
島の北部青砂ヶ浦の入り江に島で最も大きな天主堂があります。
故郷の島だけで30近い教会建築が残っています。
陸上交通の発達していない時代に、信者さんが暮らすひとつの入り江ごとにひとつづつ教会が造られました。
青砂ヶ浦天主堂は西の港青方の大曽天主堂、東の頭ヶ島の頭ヶ島天主堂と並んで3つの素晴らしい建築作品です。
1910年に建立されました。
頭ヶ島天主堂は石造ですが、青砂ヶ浦と大曽は煉瓦の外壁です。
建築的に正確に言うと木軸煉瓦積みの構造になっています。建物の骨格は木造なのです。
大曽はラウンドアーチ(ロマネスク様式の特徴)ですが、青砂ヶ浦はポインテッドアーチ(ゴシック様式の特徴)です。
ともに鉄川与助の設計施工です。
青砂ヶ浦でもマリア様は人々の暮らす入り江をやさしく見下ろしています。
私がこの天主堂を実測した30年前は、ステンドグラスの枠が木製だったような、ガラスももっと素朴なものだったような記憶があります。
鉛の枠できれいな色ガラスがはめられたステンドグラスは単純で素朴な意匠は変わっていません。
日本の西の果ての小さな島に、こんな教会が存在することが不思議な気がします。
しかも100年も前から・・・
そしていくつも、いくつも・・・
久しぶりに青砂ヶ浦天主堂を訪ねたのは雲の多い小雨がちらつく日でしたが、強い夏の陽射しがステンドグラスから差し込んで、堂内を輝かせていた30年前の感動が蘇ってきました。
30年前実測が済んで、卒論の相棒長沼くんと、窓から見える入り江の海にフリチンで飛び込みました。