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2007年03月29日

都市の集合住宅

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 すっくと立つタワークレーンは建設現場の働き者。
 この地方銀行本社ビルの現場では2基のクレーンが爽やかな青空の下、のびやかに働いています。
白い仮囲いの中では地下工事がどんどん進んでいます。中の様子がわかるように、仮囲いはところどころパンチングされていてそこから最近できたかろやかな高層マンションがのぞいていました。
 このマンションも斬新なデザイン。薄い白いスラブがリズミカルに宙に浮かびながら積みあがっています。サッシュも手摺も透明ガラスでモデルルームの部屋に寝転がっても、眼下に福岡の町を見下ろすことができて、気持ち良いような不安なような特別の浮遊感でした。日々わくわく(ゾクゾク)しながら生活するのもいいのかな?
 このマンションは免震構造を備えていて、先の福岡地震の時は駆体が出来上がっており、免震性能を遺憾なく発揮したそうです。ちなみにこの免震は建物の足もとにごっついゴムの長靴をはいてるようなやつでした。地面が揺れてもゴム長が揺れを吸収して、建物はほとんど揺れないんだとか。

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 こちらはさっきの工事現場のすぐそばにある古い公団住宅です。10階建てです。
 バルコニーがありません。上の高層マンションの全面スケスケバルコニーとは対照的です。一見するとオフィスビルのような外観(少しにぎやかだけど・・・)
 ここの上層階からの眺めは抜群です。福岡城址、平和台競技場、お堀、大濠公園をずるっと見渡して、はるかに油山まで見晴るかすことができます。特にあのまあるくカーブしたコーナーの部屋からの眺めは最高です。
 洗濯物も布団も直接干すことができませんが、この時代住宅公団がエネルギーを注いで開発した共同住宅は画一的ではありませんでした。屋上に洗濯物干場があるようです。
 地震でもほとんど被害が無かったようです。
 今は無き原宿の同潤会アパートも近代日本で最初期の鉄筋コンクリート共同住宅で、居住者への配慮が行き届いたきめ細かな計画などの先見性が評価されていました。いつの頃からか集合住宅がチープなステレオタイプばかりになり、私たち自身の都市生活も箱に規制されて窮屈なものになってしまいました。マンションデベロッパーによる思想のないマスプロ販売手法の悪弊です。
 デザイナーズマンションと呼ばれる新スタイルも流行しているようですが、私たちは都市に住まうということをもう一度見つめなおし、都市の資産としての共同住宅を考えていきたいと思っています。都市の集合住宅を考える時もワークスのキーワードは「生活」です。


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