« 村長さんです。 | メイン | いちばん素敵な公共建築 »

2007年01月24日

いちばん素敵な教会

DSC_0143.jpg
アチコチふらふらしていた間に心にためていた、いろんな「いちばん」を紹介します。

まずは、長崎県西彼杵郡大野町にある小さな小さな石積みの天主堂「大野教会」です。
村長がいちばん好きなカトリック天主堂。シャルトルより良いです。

西彼杵半島の西海岸は東シナ海に面して日本でいちばん夕日のきれいなところ。
緩やかに湾曲した真一文字の水平線にでっかくて真っ赤な夕日が沈みます。
若者たちの車でのデートコースに最高!
年寄りの村長さんは輝く西方浄土からの光に、つい手を合わせて・・・

夕日が沈む水平線には五島列島が連綿と並んでいます。
かつて幕府や新政府の迫害を逃れた信者さんたちがここから海を渡ってゆきました。
そして五島の数多くの入り江にたくさんの教会が建設されました。
村長は若い頃、西彼杵半島や五島列島の天主堂建築を研究調査していたのです。
西海の木造やレンガ積みや石造やRC造のたくさんの天主堂を訪ねたけど、ド・ロ壁
という名の石積壁の木造のこの大野教会が大好きです。
沈む夕日に染め上げられる段々畑の斜面の木々に囲まれて、白いマリア像がなけ
れば、教会とは判らないほどの小さな建物です。
数年前に訪ねたとき,下の畑で草取りをしていた信者さんに話を聞くことができました。
「信者はもう3軒しか無かとよ。年寄りばっかいやし・・・でもお御堂のお世話は嬉か
もんねー。いつまで続けらるっやろか・・・。」去年友人たちと訪ねたときにはあたりに
人の気配はありませんでした。
今は長崎県の重要文化財に指定されたのかな?修復工事の跡ががありました。

DSC_0140.jpg
これがド・ロ壁。鬼瓦には十字架。


建築家は印刷技術、農鉱業、土木、建築、医学、薬学等を学び、パリ大学で神学を
専攻したド・ロさんというフランス人の神父さんです。ド・ロ神父は布教だけでなく、この
地に産業を興し、教育を施し、本を出版し、病気を治して、建築をつくったスーパーな人
なのです。
実学なら何でも来い、生活に必要なもの何でもつくっちまうぞ!みんなで豊かになろう!
村長はそんな感じを想像して、建築家ド・ロさんが大好きです。

コメント

始めまして。高嶋と申します。

私は構造が専門ですが、やはりこんな素敵な教会を前にすると建築の本当のチカラというか本質のようなものに心をぐっと握られてしまいます。

よく構造家として何がしたいですかと聞かれるのですが、構造の表現として何が出来るだろうかと考え、答えはなかなか見つかりません。

わかったようなコメントでお恥ずかしいのですが思い切って書いてみました。

また、素敵な建物を紹介してください。

高嶋さん、コメントありがとうございます。

西海の小さな天主堂たちには、いつも建築の原点みたいなものを教えられる気がします。人々が自分たちの資財と土地の材料を使って、持てる技術に工夫を加えて、心休まる空間をつくりあげてゆく・・・「あっ、ここにはきっと本当に神様がいるんだな。」って、そんなことを感じさせてくれるのです。

私も今、材料と構造の表現力に興味を持っています。いろいろと教えてもらえたらうれしいです。

コメントする